PressRoom.jpプレスルーム引継帳の余白080207

中国の闇

引継帳の余白~全国紙デスクの日々

08.2.7

 この原稿を書いている段階で、中国製冷凍ギョーザによる中毒事件の原因は、製造段階での薬物混入という見方が強まっている。

 ある同僚記者は「待遇で不満を持っていた工場関係者だな。恨みからギョーザの上に農薬をまいたのだ」などと、見てきたようなことをいう。中国特派員経験者も「中国はオリンピックを控え、国の威信にかけても、犯人を捕まえるはず。早期決着するだろう」との見立てだ。

 まあ、素人探偵の推理はともかく、映像公開された加工工場の内部は予想以上に清潔な印象で、簡単に殺虫剤の成分が混入しそうには見えない。人為的な気がする。中国当局も、自国製品のイメージをこれ以上悪化させないためには、一部の不心得者の仕業ということで決着させることが一番いいのだろう。

 しかし、たとえ「犯人」が捕まっても、一件落着となるのかどうか。

 100円ショップに行くと、加工食品の多くは中国製だ。たとえば、ナスの漬け物が5個入りで100円。ここから小売り段階での利益、輸送料、加工賃などを除くと、原料のナスは一体いくらなのか、と思ってしまう。中国農民の労賃の安さは容易に想像できる。不満は社会にオリのようにたまっているのではないか。

 今から十数年前、中国・シンセンの経済特区で、日本から進出した紡績会社を取材したことがある。工場で働く従業員はみな農村出身の若い女性で、つつましい寮生活を送り、給与の多くを故郷に送金していた。年頃の娘たちの集団なのに、カメラを向けても、あまり反応がない。どこか暗く感じたことが記憶に残っている。

 すでに当時、都市部と農村の格差が論じられていた。あの娘たちは、にぎわう街をどういう気持ちで眺めていたのだろうか。その後も、格差は解消されるどころか、開くいっぽうだ。中国の07年の国内総生産(GDP)実質成長率は前年比11.4%で、5年連続の二桁成長だった。名目GDPは、ここ5年で2倍に拡大し、08年にはドイツを抜き、日米に続く世界第3位に躍り出る可能性が高い。

 その一方で、国内の至るところで黒い怒りを秘めた人間が増えている気がする。

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引継帳の余白~全国紙デスクの日々 記事リスト

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足腰は弱り体力も落ちたけど相変わらず青臭いこと言っている。そんなオヤジ記者の日常報告。考えるきっかけを提供できれば。 [全国紙デスク]

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