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急速に高密度化と低価格化が進むフラッシュ・メモリーの影響

技術編集者のITニュース読解

08.2.9

 フラッシュ・メモリーは高密度化と低価格が急速に進行しつつあり、その影響はさまざまな分野で現れ始めています。フラッシュ・メモリーは1年で記憶容量が倍増する(ファンの法則)と言われていており、その進化の速度には目を見張るものがあります。

ASUSTeK、5万円を切る小型モバイル端末「Eee PC」発表会
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0123/asus.htm

 ASUSTeK Computer社は1月25日、Windows XPを搭載したモバイル端末「Eee PC」を発売しました。このEee PC、これまでのモバイル用ノートPCと比べると、低価格であることはもとより、ハードディスクの代わりに4GBのフラッシュ・メモリーを搭載するという非常に「とがった」スペックになっています。当初は海外でLinuxを搭載した製品が「199ドルPC」として発表されましたが(実際の販売価格は299~399ドルとなった)、日本の市場向けの製品はWindows XP Home Editionを搭載し、4万9800円で発売されました。

it080209.jpgEee PC ハードディスク・ドライブ(HDD)の代わりに半導体の「Solid State Drive(SSD)」を搭載することは、昨年あたりから各社のノートPCに見られるようになりました。これは2.5インチおよび1.8インチHDDと互換性を持った製品が市場に投入されたことにより、製品のラインナップに容易に組み込むことが可能になったためです。

 SSDは、機械的な部品を使わないため、信頼性が高い、ランダムアクセスが高速などのメリットがありますが、まだHDDに比べると高価格で、書き込みできる回数が数万回程度とHDDよりも少ないといったデメリットもあります。Eee PCのSSDは、高価なHDD互換ドライブを使わず、マザーボードにメモリー・チップが直付けです。したがって、SSDの容量を拡大することはできませんが、これによって大幅にコストが削減できたことと思われます。

 ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、今回取り上げたEee PCは、HDDは使わないというところからスタートしているのが「とがった」というか「割り切った」というか、ユニークなところです。

 さて、1月25日に発売されたEee PCですが、自分は発売日当日に、衝動的に購入してしまいました。

 まず最初に思ったのは、「本当にWindows XPが動くのだろうか?」ということです。Windows XPをPCにインストールした経験のある人なら、きっと驚くかもしれませんが、ディスク容量が4GBというのは、オペレーティング・システム(OS)をインストールすると、もうほとんど余裕がないギリギリのサイズです。Windowsを最新状態にアップデートすると、残りは800MB程度しか空きがない、これには正直、驚いてしまいました。しかし、PCにとっては負担の大きい「YouTube」や「ニコニコ動画」などの動画ストリーミングも、コマ落ちも音切れもなく、快適に再生してくれます。GmailなどのWebメールを使うなら、サブマシンとしては買ったままの状態で十分に役立ちます。

 「じゃあ、アプリケーションはどこに入れるの?」と思うでしょうが、これまたフラッシュ・メモリーを利用するように作られています。Eee PCにはデジカメなどによく使われるメモリーカード「SDHC」のスロットが用意されていて、ここにSDHCメモリーを入れたままにしておくという使い方です。製品には4GBのSDHCメモリーが添付されていますが、秋葉原では16GBのSDHCが1万円ちょっとで購入できます。これがDドライブとなり、ここにアプリケーションをインストールします。Eee PCは、まさにフラッシュ・メモリーの高密度化と低価格化を見込んで企画された製品であり、今後のモバイルノートPCのありようを示唆する製品であるということができます。

 こういう個性的な製品は、一部のPCユーザーにとっては「挑戦意欲」を強烈にかきたてるようです。不必要なアプリケーションを削除してディスクスペースを広げる方法や、800×480ドットの液晶ディスプレイにむりやり1024×768ドットを表示させる方法、200MBのディスクスペースを消費する仮想メモリーをゼロにする方法といった初歩的な「技」から、Windows以外のOSをインストールするといったハッカー的な「技」までが発表され、中には「MAC OS X 10.5」を搭載するといったツワモノも出現しています。

 今回発売されたEee PCは、CPUにIntel製品でも低価格な「Celeron M 353」を採用し、液晶も7インチの800×480ドットを搭載していますが、PC Watchの「Hothotレビュー」によると、今年の初めにラスベガスで開催された「2008 International CES」では、第二世代のEee PCの情報も明らかにされたとのことです。こちらは液晶の解像度も1クラス上がり、CPUにはIntelの最新モバイルプラットフォーム「Menlow」が採用され、パフォーマンスの向上が期待できるそうです。

 HDDを搭載しないモバイルノートPCは、フラッシュ・メモリーの高密度化と低価格化によって、今後急速に広まることが期待されます。さらに、手軽に持ち運べるモバイルノートPCの普及と、昨年認可されたWiMAXによる広域無線LANのサービスが出会うと、新しいPCの利用スタイルが生まれてきそうな気がします。

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IT関連ニュースの背景やそこに潜む狙い、今後の展開などをテクニカルエディター・ライターが専門家の目で読み解く。 [斉藤彰男]

斉藤彰男(出版社系ITニュースサイトテクニカルエディター・ライター、プログラマー)=元月刊誌編集者
 出版社系ITニュースサイトテクニカルエディター・ライターと同時に、日本語情報処理を得意とするプログラマー。インターネットの商用利用が始まった頃から雑誌「インターネットマガジン」やメールマガジン「Internet Watch」などの編集を手がけ、エンジニアとエディターの二足のわらじを履きつつ十数年。最近は、新たな分野への挑戦として省エネルギー関連の仕事に携わる
http://www.supercat.jp/

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