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2008年は"ワーク・ライフ・バランス"元年

ママ記者ののぞき目・聞き耳

08.1.8

 厚生労働省が2008年1月1日付で公表した2007年の人口動態統計によると、2007年の出生数は109万人。6年ぶりに増加した前年比3000人減となり、再び減少に転じた。また、死亡数は110万6000人で、出生数を1万6000人も上回り、総人口も再び減少した。

 こうした数字を目のあたりにすると、日本の人口問題もいよいよ本気で笑えなくなってきたと感じる。少子化対策として政府は2007年4月から児童手当額を一律5000円から1万円に引き上げたが、実際子育てをする多くの親にしてみれば、「焼け石に水」というのが本音だろう。というか、そんな微々たる援助で出生率低下に歯止めをかけようと政府が本気で考えているのなら(そんな訳はないだろうが)、「子育てをなめてんのか?」と、子育て中の人々が声を大にして叫ぶだろう。子どもを扶養している人に対する「税額控除」の導入うんぬんの話もあるが、"産む機械"側にしてみれば、なんだか根本的な認識が間違っているような気がする。

 事実、30代で出産を経験していない多くの女性にとって、出産というのは大きな壁だ。もちろん、"産む産まない"は個人の自由だとはいえ、その選択は間もなく、後には引き返せなくなる。40代で高齢出産する人もいるけれど、タイムリミットとして我々女性が意識するのは40歳というのが一般的だろう。その境目を前に女たちは葛藤する。

 多くのキャリア女性にとって30代というのは、組織では一人前とみなされ、それまで20代で培った経験を花咲かせることができる年代。社会的にも評価され、経済的にも安定したそのときに、"出産・子育て"という選択を迫られるのは実に不条理な話だ。たとえ産休・育休があったとしても、その後の生活が一変することは避けられない。

 1980年代の終わりに英米で提唱された概念に"ワーク・ライフ・バランス"という言葉がある。仕事と生活の調和を意味するもので、生産性の向上には双方のバランスが不可欠とする考え方だ。昨年は、この"ワーク・ライフ・バランス"をテーマに多くのイベントや企業を取材する機会に恵まれたが、これからの少子高齢化社会において労働者確保が困難になるなか、経営戦略のひとつとして日本でも企業の間でこれに取り組むところが増えてきており、2008年にはさらに注目を集めそうだ。

 "ワーク・ライフ・バランス"は、労働時間の長さが生産性に結びつくと考えられていた従来の日本的労働スタイルとはそもそも相反する働き方だ。"残業大国・日本"に根付くには時間がかかるかもしれないが、女性が社会に出て働くことが当たり前の現代で、こうした価値観の浸透は、キャリアを維持したい女性の出産への踏ん切りを後押ししてくれるものとして期待できる。子育てに費用は必要だけれど、さらに必要なのは出産後もキャリアを維持できる環境。子育てに"自己犠牲"はつきものだが、それをいかに軽減してくれるか。抜本的な社会の構造や意識の改革がなければ、人口問題は解決しない。

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子育てしながら毎日奔走するフリー編集者&ライターが、暮らしや仕事を通して気になるテーマやトレンドをカジュアルに記録。 [神野恵美]

神野恵美(雑誌、ニュースサイトライター・編集者)=元週刊誌記者・編集者、元在欧州新聞記者・編集者

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