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"臭いものにはフタをする"だけの18歳未満へのフィルタリング規制に疑問

ママ記者ののぞき目・聞き耳

08.2.5

 18歳未満に対して、携帯電話のコンテンツの閲覧を制限する"フィルタリングサービス"が早ければ6月にも強制されるらしい。総務省のこの方針に、コンテンツプロバイダーをはじめ、通信業界、教育現場、ひいては投資家たちまでにもちょっとしが激震が走った。要は、出会い系サイトなど、いわゆる有害サイトがもとで、未成年者が犯罪に巻き込まれるケースが後を立たず、フィルタリングによって一律に子どもたちを守ろうというのが表向きの意図なのだが、その方針が業界に与えたインパクトは並々ならぬものだった。

 実際に、子どもを持つ親としての立場から言えば、犯罪から子どもを守ろうとするこうした試みは一見すると歓迎すべきものだが、教育論に及ぶと疑問が残るというのも正直なところだ。

 一方で、業者の立場からすると、特にコンテンツプロバイダーにとっては、死活問題だ。これによって事業そのものが否定されてしまう企業だってあるだろう。昨年11月末時点で、18歳未満の利用者が29%を占め、売り上げの42%を占めるアバター販売収入の17%、同じく36%を占めるアフィリエイト型広告収入の34%が18歳以下の利用者だという「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エーが先日、業績説明会を開いた。

 会見の席で同社の南場智子社長は「自殺サイトやアダルトサイトとSNSの区別や、健全化の努力をしているサイトとそうでないサイトの区別なく一律に制限している。具体的にどのサイトにアクセスできないかわからないまま契約して、後で親子のトラブルになることもある」と語っている。

 携帯キャリアによるフィルタリングの導入は、昨年末から今年初めにかけて相次いで発表された。各事業者はこれまでも違法・有害な携帯サイト対策に取り組んでいる総務省の要請のもと、フィルタリングの認知向上などを求める啓発活動など、比較的ゆるやかなものだったが、今回の要請は18歳未満に対して原則フィルタリングを適用するという強制力の強いもの。間違いなくコンテンツ事業者からの反発が予想される今回の要請に、キャリア側が素直に従ったのには、裏事情が絡んでいるのではないかと、業界関係者の間には憶測が飛び交っている。

 今回の決定に絡む黒いウワサはさておいて、「臭いものにはフタをする」的なやり方に個人的には疑問を感じている。「規制は破られるためにある」という悲観的な思いもあるが、こうした社会問題を単に覆ってしまうだけというのは、あまりに安易すぎる。

 さらにこの問題に関しては、根本は道徳の問題。なぜアクセスしてはいけないのかの説明なしにただ通路を阻むだけでは、子どもに対して何の説明もしていないことになる。それに、日本の経済を活性化し、これからも経済の発展に貢献し続けてくれる合法なコンテンツを提供するプロバイダーまでもを十把一絡げに抹殺するような政策を、経済産業省はどのような目で見ているのだろうか。

 いずれにせよ、未成年者を有害なサイトから守る術は、フィルタリング以外にもきっとあるはずだ。

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子育てしながら毎日奔走するフリー編集者&ライターが、暮らしや仕事を通して気になるテーマやトレンドをカジュアルに記録。 [神野恵美]

神野恵美(雑誌、ニュースサイトライター・編集者)=元週刊誌記者・編集者、元在欧州新聞記者・編集者

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