PressRoom.jpプレスルーム素朴な疑問080128

台湾な日本語(2)賞味期限

記者が感じる素朴な疑問

08.1.28

 日本を訪れる台湾人は年間130万人を超え、訪日外国人数として韓国に次いで2位。中でも北海道への観光客が増えているという。台湾は雪が降らないだけに、北海道で雪に触れたい、と考える人たちが大挙して北海道を目指す。そして北海道旅行の土産として台湾でも、石屋製菓の「白い恋人」は「白色戀人」として圧倒的な人気。台北の日系デパートや日本食材店でバレンタインデーの時期に販売していた。2007年8月、白い恋人の賞味期限改ざんが発覚した時は、台湾でも大きなニュースとして連日、新聞各紙が報じた。

 台湾南部、高雄にある大型ショッピングモールの北海道産品専門店では常設販売開始したばかりの白い恋人を撤去。台湾の衛生署は、白い恋人の廃棄を呼びかける声明をサイトに掲載した。白い恋人が有名な商品だったということだけでなく、やはり台湾でも賞味期限の改ざんという行為自体が、大きな問題として受け止められたのだろう。当たり前だが、賞味期限は台湾の人たちにとっても重要な事柄なのだ。

 台北一の繁華街で台北の銀座とも呼ばれる頂好地区。台北を東西に貫くメーンストリート忠孝東路と、南北に走る敦化南路が交差する一帯。地下鉄の忠孝敦化駅周辺。太平洋SOGOをはじめ大型百貨店やファッションビル、ブランド店、しゃれたブティックが立ち並ぶ。駅から忠孝東路を東へ3分ほど歩くと老舗デパートの明曜百貨がある。客の年齢層はやや高めだが、落ち着いた歴史あるデパートとして買い物客を集めている。地下は超級市場、いわゆるスーパーマーケット。生鮮食材から菓子、茶、洗剤、歯ブラシなど生活密着商品の売り場。地元の人が日々の買い物にやってくる、そんな雰囲気だ。

 売り場に並べられている菓子類は、日本メーカーの製品が多い。日本で売られている商品が直輸入され、日本語パッケージのまま売られていたり、台湾用に繁体字に書き換えたパッケージに入っているパターンもある。そして、台湾メーカー製なのに日本語パッケージになっている商品も少なくない。袋を日本語で書くと、いかにも日本の菓子メーカーの製品のように見えるからだろう。

 「こんにゃく玄米ロール のり味」と袋に大きく書かれた商品が、特売ワゴンに並んでいた。円筒状の揚げ菓子に青のりをまぶした写真が掲載されている。一見すると日本からの直輸入。しかし「海苔口味」「天然 こくもの 添加」の文字が怪しい。袋に書かれた商品説明の文章を見ると「確かはチーズはとてもいい食べ物です。豊富で栄養があります 成長中の児童青にいい栄養の補充するものです」。これで台湾メーカー製だということが判明。

 袋の裏を見ると、繁体字と日本語、英語で成分、保存期間、賞味期限、重量の表記があり、製造者として「日本大山製作所 技術提供 製造者:北田食品有限公司」。日本のメーカーが技術提供したとうたう、いかにも日本的な会社名。とはいえ、会社の住所が桃園縣となっているので台湾の会社だということは明白。問題は、日本語の表記である。商品説明のよく分からない日本語はまだいい。白い恋人の例から賞味期限について神経質であることが明確になった台湾にあって、それはどのように書かれているのか。

soboku080128.jpg 日本語の表記では、「保存期限:一年」の下に「賞味期間:封じこあるとこるこ(西暦)」。まさに「?」。「封じこあるとこるこ(西暦)」とは何か。日本製品かと思わせるために使われるニセ日本語(特に平仮名やカタカナ)には、間違いの原則がある。平仮名なら「ろ」と「る」、「う」と「ら」、カタカナなら「ソ」と「ン」、「シ」と「ツ」の区別が出来ていないことなどだ。

 香港で見付けた携帯電話ケースの袋には「こらきゅら製品」と印刷されていた。これなどは「ら」を「う」と読めば「こうきゅう」とすぐに分かる。変な日本語のご愛嬌程度。ところが、今回のこんにゃく玄米ロールは、賞味期限(袋には賞味期間とある)という食品の安全に関して最も重要な情報が、意味不明になっている。「封じこあるとこるこ(西暦)」の文字をじっとながめて解読を試みたものの、なかなか答えが浮かばない。白い恋人であれほど騒いだ台湾で、いくら日本語だからといっても賞味期限の表記がこれでは、いただけない。

 繁体字表記ではどうなっているのか。「有効日期:表示於封口處(日/月/年西元)」。なるほど、「封」という文字は同じか。「表示」してあり、それは場所を示す「於」の次の「封」と。そして「口」の「處」=処=所、となると、「口を封じてある所に表示」ということか! これで分かった。ちなみに英語表記は「BEST BEFORE/PRINTED ON PACKAGE」。

 「封じこあるとこるこ(西暦)」の最初の「こ」を「て」にして、後ろの「る」を「ろ」に直すと「封じてあるところ」だ。封をしてある所に西暦で書いてある、と。しかし、最後の「こ」は何か。しばし考えてひらめいた。この「こ」は「=」ではないか。そうすると「封じてあるところ=(西暦)」。解読できた。そして袋をひっくり返してみると「07.11.2008」の印字。賞味期限は2008年11月7日。保存期間は1年となっていたので、製造したのは2007年11月7日ということも理解できる。

 「07.11.2008」と印字された面には、またしても日本語で「万一品質に不都合がありましたら、当社コンシューマールーム宛にお買い上げの月日と店名をお書きそえの上、袋ごとお送りください。郵送料をそえて、お取り替えさせていただきます」。ほぼ完ぺきな日本語だ。しかし、同様の事項に関して繁体字や英語の表記はない。これでいいのだろうか。さらに「封じこあるとこるこ(西暦)」と、このしっかりとした日本語の差は何なのか。技術提供した日本大山製作所は、賞味期限の日本語も指導してもらいたいものだ。いや待てよ、日本大山製作所というのは会社名であって、これだけでは日本の会社かどうか分からないのではないか。歴史あるデパートで売られている商品ですら、日本語はこのありさまだ。

 台湾のテレビのバラエティー番組では、現地語の会話の中に「ちょっと待って」など日本語がはさみ込まれる。日本語の会話の中に「ウエイト」と入るような感覚だろうか。そのくらい日本語が定着し、日本語がほぼ完全に分かる人も多い。こんにゃく玄米ロールのような半端な日本語では、かえって商品イメージがダウンしてしまうのではないか。あるエビせんべいは、パッケージの袋の表記のほとんどが繁体字で、唯一「ノンフライ製法」だけ日本語だった。これなどはキャッチコピーというよりファッションだが、それでもいかにも日本っぽく見せようとして失敗するよりは、よほどいい。

LinkIcon台湾な日本語(1)鉄道の公式ガイドブック(08.1.3)

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2008年

台湾な日本語(2)賞味期限(08.1.28)
台湾な日本語(1)鉄道の公式ガイドブック(08.1.3)

理不尽な事実、ニュースに浮かぶ素朴な疑問、納得できない事象などを、フリージャーナリストが素直に書き記す。 [元全国紙記者]

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