[健康=メタボの行き着く先](71)透析クリニックでクラスター発生! 息子に続いて自分もPCR検査

前回の「(70)緊急事態宣言下の透析クリニック、同居の息子は発熱!」から1カ月空いてしまいましたが、入院していたわけではありません。確定申告やら原稿の締め切りが立て込んでいただけです。発熱して新型コロナウイルスPCR検査をした息子の検査結果は、シロ(陰性)でした。息子とは検査結果が分かるまでも普通に会話をしていたのですが、杞憂(きゆう)に終わりました。

ところが、今度は自分が通っている人工透析クリニックで患者さんが透析中に状態悪化し、新型コロナウイルス抗体検査で陽性であることが明らかになりました。それは自分にとって中2日明けの月曜(自分の場合、透析は月、水、金曜の夜間)でした。特に説明がなく、4時間半透析の自分はいつも午後4時半に透析室に入るところ、同5時まで消毒のために待たされました。同じように待っている透析患者のオッサンによると、午前中に陽性判明者が出たとか。それで透析患者が入れ替わるごとに消毒を念入りにして換気もしていたのです。

午後5時になってようやく、4時間透析の患者と一緒に入り、穿刺(せんし)されているとき技師さんに聞いてみると「午前中に急に体調が悪化した患者さんがいて、陽性だったんですよ」。しかし、入室前には体温計測をしているはず。「そのときは熱もなかったんです」とのことで、透析中に体調が激変したようです。新型コロナウイルス感染症が急激に発症する例がまさにさく裂したわけです。その日は、技師さんや看護師さんには緊張感がありました。

そして、2日後の水曜の透析では、発症者のいたクールを中心に陽性判明患者が急増したことが分かりました。スタッフにも陽性判明者が出て、クラスター(感染集団)発生になってしまったのです。その週はほかの病院からの応援スタッフが駆け付け、翌月に異動予定だった技師さんも前倒しでやって来て、顔ぶれが大幅に変わりました。

技師さん、看護師さんも重装備で帽子にゴーグル、使い捨てウエアの上にさらにビニールのエプロンをし、手袋もやや厚手に変わりました。こうなると顔は全く分かりません。その中で久しぶりに聴く声がありました。前に異動していなくなった技師さんが、前倒しで戻って来たのでした。異動する方はたまったものではありませんけど。

クリニックの事態が悪化していることが分かったのは、翌週の月曜でした。それまでは不安ながらも透析に行っていたのですが、その日は入口を入ってすぐの受付で脇に挟む体温計で厳密に体温を測り、次にPCR検査を院長が自ら行っていました。唾液を使う方法だと時間がかかるので、鼻の粘膜を取る方法でした。

同時に、経過報告書も配布されました。スタッフ全員のPCR検査を実施したところ3人の陽性が判明し、最初の発症者が出たクールで数人の透析患者が陽性になっていました。こうなると他のクールの患者も感染している可能性があります。スタッフは朝から通しの人もいるし、夕方までの人も夜間クールの来院時間が早い透析患者と会話を交わすことがあるからです。

大騒ぎになったのは、この全員PCR検査の後でした。患者は最初の発症者のいたクールを中心に陽性判明者12人、スタッフも9人の陽性が判明し、クラスター発生がローカルニュースで報道されてしまいました。幸い夜間のクールはゼロだったのですが、そこから透析室は完全厳戒体制です。

スタッフはほとんど別のクリニックからの人員に変わり、血圧測定は完全機械任せ、カルテなども患者が触れないよう徹底されました。患者が手袋をするのは止血のときだけなので、あとは手袋をしているスタッフが触るようにして接触機会を極力減らしたのです。

そんな中、保健所の判断で、PCR検査で全員シロだった夜間クールの透析患者も濃厚接触者に指定されました。自分は元々自宅で原稿を書いている仕事なのでいいのですが、たまには外食したい日もあります。が、当分は自粛しなくてはいけません。外で働いている人にしてみると大打撃です。休業手当を保険料から引くなどの手はないものでしょうか。

外に出ないにせよ、家の中には息子と80歳を過ぎた母がいます。息子が仕事の都合で引っ越すことになり、それに関連してあれこれ聞かれたりしていて、万一のときは家族感染も心配です。息子は手続き関係と引っ越し先の整理などで外に出まくっていて、母も買い物に行きます。自分は透析帰りのコンビニでさっと買い物するだけですが、こうなると家族の方が恐怖です。

そして翌週の月曜、再びのPCR検査。こちらも夜間クールは全員シロでした。ですが、さらに透析室内のスタッフは厳戒体制を強め、ほとんどのスタッフが入れ替わりました。なじみがないスタッフに穿刺されるのは、実はけっこう怖いのです。自分の場合は左側の穿刺口下にある血管の1つが細く、本流のシャントがその下にあるトラップになっています。カンの悪い技師さんだとハマって中でグリグリされることもあります。なので、できれば慣れている人が安心なんですが、今来ているスタッフさんは幸い優秀でした。

元のスタッフも全員が濃厚接触者ということで、現在は自宅待機をしているそうです。というわけで、自分も濃厚接触者なのでおとなしくするしかありません。その後夜間クールでは発症者が出なかったのですが、自分が外でウイルスをもらってしまうとクラスター再発になるので、緊急事態宣言が解除されるまでは引きこもっておこうと思います。 (U)=雑誌・ウェブ編集者、50歳代後半

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