[暮らし=防災]千葉県の停電・断水被災体験記(下)暑さで眠れず自宅と車を往復

●帰宅すると自宅は真っ暗の蒸し風呂、車に避難!●

人工透析中、クリニックでは発電機を使っていたのでエアコンも効いていたのですが、帰ってみると自宅は真っ暗。部屋は地獄です。スマホを「簡易ライト」モードにして懐中電灯の代わりにしますが、そうそうつけっぱなしにできません。そこで、タブレットの「iPad」で読書し、スリープまでの時間を長めに設定してみると、画面が大きいのでそこそこ明るさが確保できました。これはおすすめです。タブレットならなんでも使えるので試してみてください。

とはいえ暑さには耐えられず、こりゃたまらん、とスマホの充電もかねて車内に避難。エアコン全開ですがまだ30℃もあることが車の温度表示でわかりました。搭載されている車のワンセグでニュースを見ると千葉県も含めて69万戸が停電中。大半が千葉!

ワンセグのおかけで状況はわかりましたが、このニュースは誰に向けて情報発信してるんだろう? 停電区域ではワンセグ以外見られないのに、情報も字が小さくて読みにくいし。結局のところ、我々はただの見世物なんだ、コンテンツなんだとしか思えませんでした。ひねくれててすいませんが、当事者にしてみればそう感じざるを得ません。

ちなみに車内で寝ようかとも思ったのですが、隣家がすぐ横でエンジン音がうるさく、かといって止めると暑くて車内でも眠れず、結局3時まで3往復して最後はベッドで寝ました。

夜中に避難した車内でエアコンとワンセグ、スマホ充電。24時近いのに30℃もあるという悪夢

こんな晩がこのあともつづくことになります。

うちわが地道に活躍しましたが、電池で動く扇風機があれば、と切に思いました。車でUSB充電可能なら充電式の扇風機も多数発売されています。明かりに関しても、手回し発電のLEDランタンがあったのですが、これよりは素直に電池式のほうが良かったように思います。

あとは、電池式の携帯ラジオ。同居している母親が愛用していますが、これは電池の持ちも長くておすすめです。スマホアプリの「radiko」などもありますが、スマホのバッテリーは極力温存しておきたいものです。

10日(火曜)は都内の編集部にお邪魔しました。

左側の房総方面へ向かう分岐車線は大混雑。電線工事車も多く見られました。ご苦労さまです(日付は間違っています)

いやー、都内、何もなかったようじゃないか! テレビがろくに報道もしてなかったのも無理ないわ、と納得してしまいました。

都内からの帰り道。千葉の被災をよそに思い切りライトアップするレインボーブリッジと明るい町並みが恨めしい。なんだろう、この違和感。電気を融通しても電線がだめなので通じないのは理解しているけれど(日付は間違っています)

しかし自宅に戻って夜は暑くて何度も車に逆戻り。午前4時ころにようやく疲れて寝付くというざま。そして起きてもなんもなし。暑い! 食事もコンビニの弁当はなく、菓子パンのみ。中にはその棚が空のコンビニもありました。

水分はというと、飲み物は箱買いでストックしているのでそれを飲み、生活用水はトイレ用に風呂水、歯磨きや洗顔用は息子が職場でもらってきてくれたミネラルウオーター。

地震に備えている家庭なら、火を使わない非常食や長期保存水などのストックもあったはずで、これは役に立ったことでしょう。

もうひとつ、カセットコンロがこんな時に大活躍してくれます。ガスのカセットとともに備えておくと便利です。なんなら、冷凍食品も湯煎したり炒めたり似たりできます。

10日(火曜)になって妹がやってきて「うちに泊まれば?」と言いだしました。妹は夫とともに近くに住んでいるのですが、家は停電していないのだそうで、スマホも通じるといいます。

なんだ、それ。その日は自分のスマホも通じなくなっていたのですが、通じるエリアまで行って編集部などに連絡をとらなくてはならず、その際、裏道を通ってみると・・・木がばんばん倒れていて片道がふさがっていて、しかもカーブの連続なので、何も知らずに飛ばしていれば激突必至です。そして倒れた木々が電線に思い切りかかっています。うちのあたりですらこれだと、山が多い南房総方面などはシャレにならないことが想像できました。

左手前に断線した電線と倒れた巨木。これでは停電も無理ありません(日付は間違っています)

そして信号はついてないのでアナーキー状態。救急車の音も途絶えません。

東京の編集部から、停電が終わっていることを願いつつ帰ると、やはり真っ暗。今晩は風もなくひたすら蒸し暑い。

●営業していた温泉で久々のお風呂!●

11日(水曜)午前中、体がかゆくなってきたので、前夜の帰り道で営業しているのを確認したインターチェンジ近くの温泉へ。朝から家族連れで駐車場は満杯でしたが、温泉は思ったよりゆったり浸かれました。それよりはエアコンのない家に辟易した家族が休憩してくつろいでいるほうが多かったかもしれません。

いまは介護用に体拭きシートなども売っているのですが、お風呂に使って思い切りシャンプーと体を洗うのとではまるで違います。しかし、まだ停電が続いている方は無料開放のシャワーや風呂と併用しながらうまくやりくりしていただければと思います。

停電が長引いたことから、後に地元に無料開放しているホテルなども出てきて「そういえばこの温泉はしっかり正規料金だったな……」と思いましたが、値段に見合う満足感があったので、まあよしとしましょう。

汗だくなのにシャワーも浴びられない、というは正直かなりの苦痛でしたから。

12日(木曜)にも都内の編集部で作業して戻ったのですが、この日の夜はむしろ寒いくらいでした。室内に戻っても窓を明けていると布団をかぶりたくなるほどです。

「9日(月曜)からこれならまだマシだったな。まあ、これならもう1週間はいけるかも」と思ってベッドに横たわっていると、突然電気がつきました!

復旧したのは13日(金曜)の真夜中0時すぎ。明かりがつき、エアコン復活。ネットの光回線も問題なし。

ポンプで水を汲み上げている我が家の水も復活しました。浄水場由来ではないので、水が電気開通と同時に回復するのは分かっていましたが、うれしくてついつい水を出しまくってしまいました。自家発電設備があればこの問題も片付くのですが、近所のGSは全滅だったので、結局使用期間は限られていたと思います。ただ、ネットが通じれば、ソーシャルネット(SNS)で空いているGS情報も入手できるので、一気にすべてのインフラがダウンしなければ有効でしょう。

13日(金曜)には、すっかり臭くなっていた冷蔵庫の中身を一掃しました。

天井が飛んだ被害などをみると、うちなどはまだよかったほうでしょう。

東京電力は復旧にあと2週間かかるところがある、と15日(日曜)に発表しましたが、うちの市もその該当地区です。また、雨で倒れかけていた樹木が16日(月曜)になって倒れ、再び停電状態になった箇所もあるという報道がありました。

これについては「FaceBook」の投稿がシェアされて流れてきていたのですが、道の近くより奥の方の木が病気で倒れやすく、実は起こるべくして起こったとも言えます。うちの地元では竹がだいぶ折れてしなだれかかっていて、これも全て伐採しないと再停電もあり得るでしょう。

被害に遭われた方々の1日も速い復旧を祈りつつ、何もなかった街に住む方にその一端をお知らせします。また、これまで自分とは関係ない地域での災害に同情こそするものの、自分に置き換えて考えられませんでしたが、自宅を失って避難所生活を長期に渡って送ることになったら、これはたまらないことだと思います。

なってみないと分からないことはたくさんあるのですが、日本は意外に放置山林や持ち主が分からない山も多いようで、今回のような停電の復旧まで時間がかかるケースは台風の規模が大きくなっている現代ではまだまだあり得ることです。また、巨大地震に関してもリスクは高いままです。

真っ暗で不快でも自宅にいられるうちはまだマシかもしれません。想定外はいつ起こるか分からないのに、役人はそれを言い訳にします。なるべくあてにしないでうまく生き延びましょう。 (U)=雑誌・ウェブ編集者、50歳代後半

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