[健康=メタボの行き着く先](10)初めての教育入院

そして、糖尿病の教育入院が始まりました。仕事連絡用の携帯とノートパソコン持ち込みです。暇つぶし用の本も用意しました。

教育入院の最初に、血糖値計測の方法を看護師さんが教えてくれました。ボタンを押すと針が飛び出し、指先に小さな傷をつける機器と、そこからにじむ血にチップを当てて血糖値を計測する機器のセットです。

「これは自宅でも食前にやっていただく必要がありますので、教育入院で慣れてくださいね」

えっ、自分で自分の血を出すんですか!? そんなの痛そうで嫌なんですけど。血がドバドバ出る漫画や映画は大好きな自分ですが、自らの血にはめっぽう弱いのです。

とりあえず、最初は看護師さんが見本を見せてくれました。それから自分でそれを再現して指先を傷つけて血を出し、セットしたチップの先を当てると、血を吸い上げてセンサー部分に届きます。待つこと5秒で血糖値が表示されます。

ちなみに、当時(20年近く前)の機器は針もむき出し、センサーにそれなりの血を吸わせなければいけませんでしたが、現在は改善され、針が見えないようになっていてごく少ない血液量で計測が可能になりました。待ち時間も3秒です。

これは保険の適用で、無料貸与されます。

普通の入院だと、血糖値は看護師さんが測ってくれるのですが、そういうわけで教育入院中は、食事前に自分で計測するはめになりました。

入院したのは8人の大部屋。小さなクリニックだったので、病室は大部屋が2つしかありませんでした。そして、入院患者のほとんどが内科だったため、ヨボヨボの老人が大半。中にはトイレに行けない人もいて、ベット横におマルがあって臭気を放っています。たんの吸引をしている老人もいて、なかなか衝撃的な病室で、全員、今にも死にそうでした。

実際、夜中に大騒ぎがあって、どうやら1人亡くなったようでしたが……。

さて、問題は病院食です。入院中の楽しみはこれくらいしかありません。自分に配膳されたのは「糖尿食 1日1400Kcal」という札が添えられた見るからに量が少ない食事でした。

ご飯は少なめ、小さな白身魚の煮物、腹に溜まりそうにない草のようなおひたし、味噌汁。デザートのヨーグルト。

「こんなん食った気になるかああ!」

とお膳をひっくり返したくなりました。そして全てが薄味。高血圧もあり、塩分が控えめなのです。これは血管や臓器への負担配慮もありました。また、塩分の濃いものを取ると、反動で甘いものを食べたくなります。

そして、1日通して1400Kcalの制限を摂取した結果、「こんなの2週間、いや、ずっと食わないといけないの!? 正直死んだほうがマシ」という結論に達しました。

さらに、その夜はとんでもない空腹が襲ってきました。ダメだ……、おやつを買っておかないと無理だ。

クリニックが地元だったこともあってその近所を熟知していたので、翌日、奨励されていた散歩のついでにすぐ裏にある小売店でビスケットを購入、ついでにコーヒー缶も買ってベンチでタバコを吸いながら小腹を満たしたのでした。(U)=雑誌・ウェブ編集者、50歳代後半

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