[健康=メタボの行き着く先](13)教育入院から日常へ

教育入院を終えて家に戻ると、日常が待っていました。日常とは、仕事をして家事もできる限りやって、あれこれ買い物もして、子供とも遊んだり--。散歩などするヒマがない状態のことです。

入院中はその全てから開放されていて、食べて寝てのんびりして散歩しているだけです。異臭がする8人部屋での集団生活の苦痛を除けば、まあヒマで、そういう面では家にいるよりストレスは少なかったと思います。

退院してしばらくは、血糖値も150~250で落ち着いていました。食事療法の効果と言えるのでしょうが、血糖値を計測して次回の診察でそれを医者に見せないといけないというプレッシャーもありました。夜中に爆食を続ければ、翌朝の血糖値は爆上がりです。当然「これはどうしたの?」というツッコミが入ることが予想できます。

医者に対して本当のことを言う→小言を言われる、ということは抑止力になり得るのです。母親の世代からは「先生に怒られるから」などという言葉を聴くことがあるのですが、自分は「医者はサービス業」という世代です。小言を言われるのも、いちいち言い訳するのも面倒です。しかし、医者側もあまり強く叱るということもなくなっているのではないでしょうか。

なので、「だからどうした。腹が減ったらなんか食うだろ」と開き直りもできるわけです。

退院から1週間ほどは仕事も本格復帰していたわけでないので、早めに寝ることで夜中の爆食を避けていました。しかし、復帰をメールや打ち合わせで告知すると、仕事が入ってきます。少しずつ忙しい日常が戻ってきました。

このころ、妻が作る食事は基本的に入院前とそんなに変わりませんでした。朝はだいたいパン、昼は麺類で、時折近くのパスタ屋のランチか「サイゼリヤ」。夜は量控えめの食事です。

打ち合わせの帰りはファミレスで好き放題ハンバーグを堪能する食事も復活です。

当然、血糖値は少しずつ上昇基調に変化していきます。最大の敵は妻でした。境界性人格障害でとにかく面倒でヒステリックなのです。わけの分からないことでキレてわめくのですから、これこそが最大のストレスでした。

その妻に血糖値の記録をチェックされることが、医師に小言を言われるよりも恐怖でした。明け方まで続く原因追求から関係ないことを言い出し、結婚前に揉めたことにまで立ち返る生産性皆無の夫婦喧嘩になることは明らかです。

ところが、妻はこれをしませんでした。いま考えても不思議なのですが、子供の世話に命をかけていたので、私に対して細かいことはどうでもよかったのでしょう。

そんな状況も手伝って血糖値は元の黙阿弥となります。そして、また夜中まで机の前を離れられない状態が1ヵ月続く雑誌の制作が始まり、状態は悪化の一途をたどり、医師からとうとうインスリン導入が告げられたのです。(U)=雑誌・ウェブ編集者、50歳代後半

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