[健康=メタボの行き着く先](35)転院先の院長との対決、人工透析を勧められ

大動脈解離で入院した救急病院ドクターの勧めもあって、心臓も含めた循環器科がある施設のそろった病院への転院を決めた自分ですが、実はもう1つ言われていることがありました。それは--。

「このままだと近いうちに腎臓がダメになって人工透析の導入になると思います。なんなら今すぐにでも導入したほうがいいくらいです」

と宣告されたのです。これは前の診察所でも「気の早い医者なら、もう左手にシャントを作る手術をすると思うよ」と言われていました。シャントは、慢性腎不全患者が透析をスムーズに行うため、手首付近を切開して血液を取り出しやすい太い血管を人工的に作ったものです。

腎臓は老廃物をろ過して小便や汗として排出する臓器です。これがダメになると、体に毒と水分がたまる一方になり、尿毒症になります。治療も何もせず放置すると、たいていの人間は死にます。病気や事故などで腎臓にダメージを受けた場合は、急いで血液を体外の器械を通じて毒素と水分を除去する透析を行うことになります。

腎臓も、インスリンを分泌する膵臓と同様に、一度ダメになると治らない臓器です。どのくらいダメになっているかは尿と血液の検査で知ることができます。その数値と血糖・血圧コントロールのひどさから2人の医師が、自分の腎臓は長くない--そう判断したのです。

過去の記録を見ていて思い出したのですが、じつは大動脈解離が発生する前の2週間は血圧を下げる薬が切れて医者に行けない状態でした。つまり高圧の血圧が血管を傷付けたというわけです。

問題だらけにも関わらず、実は救急病院の医師から「当分はドラムも水泳もやらないでね」と言われてましたが、前回書いたとおり、ガンガン叩いていました(笑)。そして血糖値も血圧もめちゃめちゃで入院の反省がまったく見られません。

●麻生太郎・副総理に似た院長は意外に優しかった●

そんな中、新しい病院の院長診察の日が来ました。先に血液検査用に採血され、検尿もして順番を待ちます。診察室に入ると待っていたのは、麻生太郎・副総理兼財務大臣)そっくりのコワモテ系べらんめえ口調のいかにも怖そうなオッサンでした。さすが院長だけあってオーラがあります。いままで相対したことのないタイプのドクターです。看護師さんが「厳しいわよ」と言っていた本当の理由が分かった気がします。

紹介状を読み、検査結果(写真上)に目を通した院長はこう言いました。「うーん、これはもう透析を考えたほうがいいくらいだね。まず、血糖値と血圧をなんとかしないと」

「透析は嫌なんです」

「まず食事指導を受けて、食生活を見直さないとダメだね」

院長にも言われた……しかし、予想よりは優しかった。数値を見て「なめとんのか、コラ!出直してこい」と言われるかと思っていたので。

中性脂肪は基準の149上限をはるかに超えた1158なのと、血糖値が205なのはもう慣れっこの数値ですが、腎臓へのダメージを示す「尿素窒素」「クレアチニン」「尿酸」のうち、尿酸以外が基準値を大きく上回っています。尿酸ももうすぐ上限値です。聞き慣れないクレアチニンは、筋肉に含まれているタンパク質のゴミと思ってください。疲れの素のようなものですね。

さらにナトリウム、カルシウム、カリウムなどの電解質を適度な濃度にするのも腎臓の大事な働きなのですが、数値を見るとやはり上限値に近く、コントロールが危ういことがわかります。そうなると電解質が体に蓄積され、体のあちこちに悪影響が出ます。これらの数値を見て、医師は腎臓が危うく、慢性腎不全に一直線であることを察知するわけです。

初診では薬も少し見直され、食事指導の予約も入れることになりました。これまでことごとく無視してきた指導ですが、大動脈解離を経験して、さらに透析が近いと脅かされるとさすがに今度ばかりはそうもいきません。

●栄養管理士さんがかわいくて食事制限を頑張る気に●

食事指導をするのは、どこの病院でも管理栄養士さんです。指導の仕方は、これまでは栄養素の説明と1日に摂取する食事のカロリー量、あとは献立関連の資料をくれる程度。定期的というより、入院の最終日に行われる方が多かったかもしれません。

しかし、今度は違います。診察日ごとに栄養指導が義務付けられました。うれしいことに栄養管理士さんはかわいかったので、やる気が出ます!(大事) 一通りの基本知識と、今の食事事情を聴取され、食べたメニューの記録を義務付けられます。これを次回の指導時に提出するわけです。

かわいい栄養管理士さんの笑顔が見たくてほめられるような食事を続けることができるのか!? 俺の体調はそんなことで左右される程度なのか!? 2007年、人間性が確かめられる時を自分は迎えていました。 (U)=雑誌・ウェブ編集者、50歳代後半

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