[健康=メタボの行き着く先](9)糖尿病と家族

かかりつけ病院の医師から糖尿病を宣告され、妻と一緒に来るように言われた自分ですが、「ちょっと待て。ガン告知でも難病告知でもないのに、なんで妻と病院に行かなきゃいけないんだ? 自分が告げればいいことではないか」と、思ってしまいました。まあ、なんなら妻には言わないという選択肢もあります。すでに家では健康とダイエットのため控えめメシになっているわけで、それで糖尿病になるのはおかしい--間食がバレてしまう恐れもある!

妻とはその後離婚することになるのですが、境界性人格障害で病的にヒステリックでした。バレたら大騒ぎになって罵倒するに違いありません。

とはいえ、言わないでおくと後々もっと面倒になりそうなので、家に帰って妻に糖尿病であることを告げて、詳細は3日後に一緒に来てくれということだ、と伝えました。

その時の妻の反応は正直、覚えていないのですが、覚えていないということは、この時点でも妻にも糖尿病がどういうものか正直、ピンと来ていなかったのかもしれません。

妻はなにかというと家族(子供)の食事も世話も放棄して病的に調べまくったりネットで書き込みバトルをするという、行動も病的な人間だったのですが、その時は特にそのような行動は取っていませんでした。

メタボリック症候群については当時(20年ほど前)も喧(けん)伝されていましたが、だからどうなるのか、糖尿病になるとどうなるのかについても、あまり具体的に言われないですし、近くに糖尿病の知人もいなかったのです。

そして3日後、かかりつけ医に夫婦で出かけていき、医師から説明を受けて妻を呼んだ理由がわかりました。

「旦那さんは高血圧でもありますが、血液中に糖があふれている糖尿病です。血糖値は基準を大きく超えているので、運動と食生活の改善で極力、血糖値が下がるよう奥様も料理などでカバーしてあげてください。それと血液中のコレステロール値が3000と異常値ですので、揚げ物なども少なくしてください」

つまり、糖尿の治療には料理を作る家族の協力が必要不可欠というわけです。これは当時も今も変わっていません。

当時の家事分担は、どちらも働いていたため買い物・食事は手の空いている方がするということになっていました。買い物はあまりなく、コープ(生協)で食材を頼んでいました。2人とも忙しいときは、最悪、冷凍食品か、牛丼弁当を買ってくるという感じです。

「旦那さまの食事ですが、1日1400kcalを目安にしてください。糖尿病の献立本もありますので、ご参考にしてください。それと栄養のバランスも偏らないよう、栄養ハンドブックも差し上げますので」

1日1400kcalだと! コンビニ弁当におやつをつけたらあったという間にオーバーじゃないか! 何を食えというのだ!

「旦那さまの血糖値はいま高いので、それを下げるのと、糖尿病患者の食事に実際に慣れていただくため、2週間の教育入院をしていただきます」

いや、先生、いますごく忙しいんですけど、ノートパソコン持ち込んでもいいですか……。てか聞いてないよ!

ということで、近々の大きな仕事の合間に、教育入院2週間が決定したのでした。(U)=雑誌・ウェブ編集者、50歳代後半

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