[健康=メタボの行き着く先](73)人工透析患者の泣き所は穿刺(せんし)とシャント

前回の第72回「濃厚接触者解除、クリニックのスタッフが戻ってきた」から3週間空いてしまいました。どうにも体調がいまひとつで、新型コロナウイルスの濃厚接触者解除の後に感染したのでは? とも思いましたが、熱も出ず、急激な悪化もないのでたぶん違うようです。とはいえ、新型コロナウイルスは変異型が主流になってきたので、引き続き油断は禁物です。

クラスター(感染者集団)が発生した人工透析クリニックも今ではすっかり元通りになっていますが、時折「マスクは鼻までかけて」と注意される患者もいます。スタッフは、接する患者が変わる度にアルコールで手をゴシゴシ。肌荒れが心配になります。

さて、そんな中、クリニックに異動で新しいスタッフがやってきました。クラスタ発生中は初めて穿刺(せんし)=中空の針を体に刺して内部の液体を吸い取ること=をするヘルプで来た技師さんだらけだったのですが、今回は前からいる技師さんに混じっているパターンです。技師さんの腕前というか、相性というか、初めてでも痛みなしでスルッと穿刺してしまう技師さんもいれば、どうにもうまくいかずに悩む技師さんもいます。ぶっとい針を刺したまま悩みながら血管を探しているので、痛いのなんの。

穿刺ではぶっとい太い針を血管に刺し、血液を速い速度で大量に抜いて戻しても大丈夫なように手術で太くした動脈のシャントに刺します。自分の場合は体外に血液を取り出す側のシャントにトラップがあります。長く刺しているうち、シャントがだめになってしまうのです。そのだめになったシャントが浅い位置にあり、十分な太さのある動脈がその下を走っています。

現在は、その下側を刺すのが正解なのですが、分からないと狭いダメシャントに突入して刺さらない(血管の奥まで針を送れない)ことになります。これがまた痛いのです。血管の壁を突き抜けてしまうこともあって、その場合は血管を別にしなければいけません。また、内出血があるので1週間ほど青あざが残ります。

技師さんは一応、携帯サイズのエコーで血管と針の位置を見て穿刺するのですが、それでもうまく入らない時や、穿刺時の角度で入口がすごく痛む場合もあります。中にはエコーなしで挑む技師さんもいますが、慣れている人だとスルッと穿刺してしまいます。

「あ、浅いな、探っているな」と感じる時は、悩んでいるのがあからさまで、結局エコーを取りにいく技師さんもいます。穿刺位置はだいたい毎回ほぼ同じ場所なので、週3回も刺されていると、傷口ができるせいか皮膚が薄くなります。そうなると、少しずつズラして刺すのですが、これもまた痛いのです。痛み止めの麻酔薬を事前に塗ってあるのですが、それでも刺し慣れていない位置だと塗布範囲でも痛さに歯をくいしばる始末です。

また、うまく刺さっていたとしても、透析の途中でいつの間にか穿刺口から血が漏れてしまう場合もあります。これは、穿刺時に傷口が裂けたり、圧力が高かったりする時などに起こります。先々週(3月第4週)は毎回、透析中にこの血液漏れが起こって、かなり皮膚が弱っていることが分かりました。一度漏れた後にかさぶたができてしまい、寝ている間ボリボリ描いてしまったようです。

とはいえ、皮膚が弱くなるぶんにはまだいいのです。問題はシャントそのものが使っているうちにヘタってきてしまうことです。シャントは普段から不自然に太いのでドクドクいってるのを感じることがよくあります。この不自然な血管に、自分の場合は毎分300mL、つまり缶ジュース1本分の血液を体外へ吸い出して透析し、除水してもう一度体内に戻します。これが4時間半続くのです。やはり、この時はシャントの部分に集中的に負荷がかかるので、時には血管が細くなったり、潰れたりすることがあります。

それでも穿刺できるうちはまだいいのですが、細い血管で無理に透析を続けるとあまり量を引くことが辛くなります。また、穿刺そのものも難しくなり、患者は痛みを感じるばかりです。透析の途中に穿刺している部分が痛くなることもあり、それに耐えられなくなって除水をやめたり、透析そのものをやめたりすることもあります。

この段階になると、まず技師さんが現在の穿刺口の前後に太い血管がないかを探します。あればそこを新たな穿刺口とするのですが、ない場合は手術をすることになります。自分も一度、シャントがダメになり、手術をするはめになりました。次回はその時の話を書きます。(U)=雑誌・ウェブ編集者、50歳代後半

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