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[健康=メタボの行き着く先](62)あの元ヨメから「息子に会いたい」の身勝手な手紙、息子は拒否
自殺寸前までのつもりが本番になったり、検査や鬱(うつ)や虫歯や皮膚病で人工透析の間を縫っていろいろあった自分ですが、元ヨメから奪還した息子も、中学生から高校受験とグレることなく、わが家で成長していました。
教師からは3者面談で「最初は表情もきつかったものの、最近は和らいでいますね」と言われました。息子は息子なりに新しい環境で緊張していたのと、地獄のような家庭環境から抜け出せたことが大きかったのではないかと思います。元ヨメは、自ら言い出して息子と戸籍上も離縁したのですが(詳しい経緯は連載第54、55回)、これでもう連絡を取ることはないだろうと思っていました……。
そんなわけないじゃないですか(笑)。どこまでも自分中心で勝手し放題、悲劇のヒロイン気取りで、自らのいいように事実の記憶すらねじ曲げてしまう境界性パーソナリティ障害で鬱の女ですよ。離縁後の息子の誕生日近く、元ヨメから息子あてに手紙が届きました。息子は絶対読まないだろうな、と思ったので、事前検閲をしてから、渡すことにしました。
そこに書いてあったのは「ごめんなさい」「後悔しています」「元気ですか」「声が聴きたいです」「兄弟も寂しがっています」--。おいおいおい、「私を殺そうとしている」「もう一緒に暮らせない」と気が狂ったようなテンションで夜中に電話をかけてきたのはおまえだろ? 家庭裁判所でも離縁を拒絶しなかったのも? 本当に後悔しているのなら、なぜあの時否定して「考え直しました」と言わなかったのか。
それが一転、悲劇のヒロイン気取りで「声が聴きたいです」だと? ちなみに元ヨメの家に息子を迎えに行った日に、元ヨメと息子で会話がなかったことは息子から聞いています。離縁が決定して以来、息子とろくに会話もしていないし、迎えに行った当日も送り出しの食事すら作っていません。当日、息子の友達がたくさん集まってくれていたのがせめてもの救いでした。
手紙の内容は、想定内でした。たぶん、この手のものが来ることは予想していました。息子に渡すと「読まねえっつーの」とそのままゴミ箱直行の処分です。やっぱりな(笑)。一応、手紙の内容をざっくり説明してやると「いかにもあいつが言いそうなことじゃん。勝手すぎる」とバッサリ。
同感です。とはいえ、息子が母親に捨てられたという事実もなかなかのトラウマ級な事件ですから、もしかするといつか許すことがあるかもしれません。なので、手紙は自分が保管しておくことにして、その旨、息子に伝えました。「許すことは一生ないと思うけどね」と言い放つ息子の胸中に去来していたのは、それまでに受けた虐待行為だったのでしょうか。
さて、この手紙の到着を機に、自分にも元ヨメからメールが届くようになりました。「手紙は届きましたか」「声を聴きたいです、会いたいです」。これも想定内です。親権はこちらにありますが、会うことは特に制限を設けていませんでした。自分も離婚後は会わせてもらっていたので。しかし今回は、息子を放り出したのは元ヨメなので「息子が会っていいなら」という条件が付きます。もう小さな子供ではなく、思春期で自分なりの考えを持っています。
息子にも聞いてみたのですが「あり得ない。話すこともないし顔も見たくない。秒で帰る。一生ないと思う」と、これまたバッサリ。メールではそれも元ヨメに伝えてました。少しキツめの文面で。要約すると「自分勝手にも程がある」です。
その後も息子への手紙は届き続けます。今度は年賀状。自分と元ヨメの子ではない新しい兄弟からの年賀状も届きます。それには「さみしいです」「会いたいです」と書いてあるのですが、息子に言わせると「そもそも家にいた時もほとんどしゃべってないし、遊んでいない。帰ってくる時間帯も違うし、年も離れ過ぎているから他人と一緒」なので、これは元ヨメに書かされたに違いないと推理していました。
「これで同情するかもとか、あいつが考えそうなことじゃん」。はい、またしてもバッサリ。この新しい元兄弟からのメッセージや絵が同封されるパターンはその後も続きます。こっちはこっちで、息子の受験で塾での面談などもあり、大忙しです。元ヨメの勝手な感傷になんか付く合っていられません。
息子はなんとか滑り込みで高校に受かりましたが、学校名は元ヨメには教えませんでした。なぜかというと、勝手に学校へ押しかけてきて「会わせてください」と職員相手に大騒動を起こしかねないからです。下校を待ち伏せすることも考えられます。
思い立ったら、やらないと気が済まない--、それは、自分が入院中の病院へ午前3時に息子連れで押しかけ、勝手に涙ながらにさよならの歌を歌った元ヨメの行動(連載24、24回を参照)からも明らかです。他人の迷惑を考えることなく、常軌を逸した行動を平気で「自分の中の美談」として実行してしまう人間なのです。息子の心が氷解することはなく、高校卒業後に専門学校へ進学。この時も学校名は伏せて進路だけ伝えるにとどめました。(U)=雑誌・ウェブ編集者、50歳代後半