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[健康=メタボの行き着く先](25)退院すると妻は「今すぐ100万円もってこい」と逆上
一緒に仕事をしたことがあるライターが2019年末に孤独死しました。脳梗塞だったそうです。享年63。彼もメタボで、痛風を患っていました。2012年の秋にも、仕事仲間だったライターが64歳で亡くなっています。この人は糖尿病が悪化してさまざまな病気になったようでした。同じ境遇の知人を2人見送ったことになります。冥福をお祈りしたいと思います。
さて、前回の続きです。入院先の病室に夜中の3時に押しかけてきた泣いている妻と、訳も分からず付き合わされている幼稚園児の息子。一体何ごとかと、思ったら……。
●病室に押しかけてきて離婚を切り出す妻●
妻は、入院患者がほかにも寝ている病室で泣きながら「こんな時に離婚を切り出してごめんなさい」と言い出す始末。今さら何を言ってんの? 入院から戻ってからでいいんじゃないのか、午前3時に子連れで病院に押しかけてわざわざ言うことか、と妻の正気を疑いました。といっても彼女は精神科に通っていて、正気ではないのですが……。
病室では迷惑がかかるので、外に連れ出しました。そこで深夜の立ち話です。思い立ったらすぐ実行しないと気がすまないのが妻の性格というか、心の病の症状なのです。何か言い訳めいたことを泣きながら訴え、そのあげく「おわびにあなたに歌を贈りたい」と言い出しました。は? 歌?「贈る言葉」ですか!?
しかも、子供と一緒に歌うというのです。どうやら2人で練習してきたようです。強制された子供にはいい迷惑でしかありません。そして、2人は明け方の住宅街で、別れる相手を励ます薄っぺらなきれいごとソングを歌い始めました。
何だ、これは……。目の前で起きていることが理解を超えていて、ひたすら寒くて仕方ありません。別れる相手を歌で応援することによって自分の行為を正当化し、思い出を美化しようとしているのでしょう。こいつは本当に狂ってる、と改めて確信しました。
歌が終わり、子供と一緒にエールをセリフで言って締めくくったことも、さらに恐怖でした。これも練習を強要したに違いないからです。ということは、子供にはもう別れることを告げてあり、しかも妻の側につけているのでしょう。子供はもともとママっ子なのでそれは仕方がないと考えていました。子供に対する妻の偏愛も異常だったし、取り上げたらら死にかねません。なので、離婚しても親権について争わないことは、手紙で離婚を告げられてからの短い期間に決めていました。
ともかく歌と言葉が終わり、2人はスッキリした様子で帰って行きました。残されたこっちは、あぜんとするばかりです。今の時間は何だったんだ、と軽くめまいがしました。そんな夜が明け、退院日を迎えました。なぜ、こんなわずかな時間が待てないのか。病院で昼食を終え、退院して家に帰ります。
家に戻って、保険の届けをするために真っ先に引き出しを開けて保険証を取り出そうとすると……、いつも保険証と一緒にまとめてあるはずの預金通帳とキャッシュカードがありません。妻が離婚に備え、夫の名義になっていた通帳とカードを隠したのは明白でした。しかしこれは、離婚サイトと書籍に目を通して違法であることは分かっていました。
離婚に際して、結婚後に積み上げた金銭や購入物は共有財産として、両者納得のうえで分け合わなければなりません。裁判になって最ももめる点でもあります。それを離婚を告げたからといって勝手に“差し押さえ”していい訳はありません。その点を妻に突き付けると「分かった、これは戻します」と納得してくれました。
そして退院後すぐ、離婚についての話し合いが始まりました。妻は「女の私から抱いてもらえないことを何度も訴えたにも関わらず、あなたは改善しようとしなかった。セックスレスでの離婚は認められているし、判例も出ている。慰謝料は300万円ほど」と言ってプリントアウトした判例を出してきました。彼女がこそこそ調べていたのは、離婚して自分が暮らしていくための資金を確保するためだったのです。
が、これに関しては「おまえの言葉による暴力と、精神疾患が原因でそうなったのだから、別れる正当な理由を持っているのはこっちだ」と反論することも可能でした。実際、精神疾患による離婚は認められています。暴力も「離婚を続けがたい重大な事由」として、セックスレスと同様に認定されています。
●妻はインターネットでホストを買っていた●
ですが子供のことを考え、裁判に時間を費やすことは避けようと決めていました。また、こちらから言い出すとどのみち慰謝料も発生しますが、そんなおカネはありません。妻は「とにかく抱いてくれなかったあなたが悪い。私は、いつまでも女でいたいの。だからインターネットでホストを買って抱いてもらった。すごく良かった」とも言い始めました。
妻がパソコンにかじりついていたのは、このネットホスト探しも目的だったのです。こちらとしては、これを理由に「不貞行為」の離婚を切り出すことも可能です。着飾って出掛けていたのは、男に抱かれに行っていた訳です。あげく「今だから言うけれど、あなたとは全然良くなかったし、感じなかった」と不敵に笑って皮肉を言う始末。それはこっちもそうだった、とは言い返しませんでしたが……。
不思議なことに、男はことセックスとなると妻が相手だと何となく遠慮しがちです。恋人やゆきずり、性風俗では思い切り好きなことができるのに、妻を意識するとブレーキがかかってしまうという男性も多いのではないでしょうか。
「ともかく、セックスレスで女としてすごく傷つけられたから、慰謝料払って離婚してください」と妻。「300万円はとても払えない。でも、この家はお前のものにしていいからそれで勘弁してほしい。住宅ローンは払うから」と自分。妻は「それでは生活できないし、精神的苦痛に対する誠意がない。今すぐ友達に借りてでも100万円調達してこい! このあいだ遊びに来た人に頼め!」と声を荒らげて突然逆上し始めました。
何だ、この女……。しぶしぶその友人に電話しましたが、もちろん無理です。時間をかけて慰謝料の件は収めていくしかありません。ここから、退院したばかりなのに離婚準備の手続きがバタバタと始まりました。もう一度入院したくなったのは言うまでもありません。(U)=雑誌・ウェブ編集者、50歳代後半
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