[健康=メタボの行き着く先](24)離婚を手紙で伝え、夜明け前に病室に来た妻子

メニューのえり好みをしているうち、冷凍庫には食欲をあまりそそらない宅配糖尿病食がたまっていき、当時取っていた生協の冷凍食品も併せて満杯になってしまいました。糖尿病食を食べているのは自分だけで、妻と子供は普通食。1対2で糖尿病食追放が決定し、宅配もやめてしまいました。

妻とはもう口を開けば即、ののしり合いです。“自分だけが大事”という妻の正体を見極めた自分が攻撃をためらうことはありません。そもそも、それまで付き合った彼女とはけんかをしたことがなかった自分を攻撃的に仕立てたのは、紛れもなく妻です。自分は、口げんかが始まると「もう本当に嫌だ。今すぐこの状態をやめたい、目の前で即死してくれ、何もかもなくなれ」という感情に支配されるようになっていました。

そんなストレスもあって血糖値も血圧も下がらず、再び2週間の入院生活になりました。入院も3度目となると、もう慣れたものです。今回は、散歩コースを前回と変え、それまでは行かなかった大通りの向こう側へ足を伸ばし、昼間から天然温泉に入ってゆったりすることにチャレンジしてみました。

シャワーもない診療所での入院だったので、これはたまらなく気持ちよかったのですが、血圧も高かったので危険も伴います。糖尿や高血圧で入院中の人は絶対にまねをしないでください。

●一時退院した時に自宅で渡された手紙●

入院が決まる前、知人が新居へ遊びに来るという約束をしていて、外出許可をもらって病院から自宅に戻れるということで、入院の終わりごろに決行することになっていました。予定通り自宅に戻ると、気のせいか妻の態度によそよそしさを感じます。「これは近々に何かあるな」と自分のカンが告げていました。

実際、入院中に妻と子供は一度も病室に来ませんでした。毎度、自分で勝手に荷造りして自分で車を運転して入院していて、特に来る必要はない、と言ってありました。それでも来ることはあったのですが、今回はありません。

そして、知人が夫婦で遊びに来ている中、妻の書斎を見に行った妻と知人の奥さんが話し込んで帰ってこないのです。様子を見に行った知人によると、何ごとか話し合って妻が泣いているのを彼の奥さんが聴いている、というではありませんか。

境界性人格障害には、初対面の相手に一方的に大事なことを打ち明け始めるというの特徴があります。空気を読まない自分中心のため、相手が少しでも共感してくれそうなら、突然、大事なことを告白し始めるのです。今までも同じようなことが“ママ友”との間であったので、自分としては「またか」の出来事でした。知人の奥さんはよくできた方だったので、共感しながら話を聴いてくれたようですが、さぞ迷惑なことだったでしょうし、面食らったことでしょう。

そんなわけで知人を迎えて和やかに過ごすはずの時間がおかしなことになり、「病院の夕食前には戻ってください」と言われていたリミットが近付いてきました。仕方なく「悪いけど、病院に戻らないと」と知人に告げて家を出ようと階段で妻とすれ違った刹那、妻が「これ病院で読んで」と手紙を渡してきました。その瞬間、とても嫌な予感がしたのですが、その予感は的中しました。

手紙の内容はもう詳しく憶えていませんし、捨ててしまったのですが、とにかく「離婚してほしい」ということでした。理由はセックスレスです。そして、慰謝料の相場提示と金額、親権、養育費についても概略が触れられていたと思います。

「ついに来たか!」というのが、手紙を読んだ正直な感想です。妻からは糖尿病の夫との将来に責任が持てないし、海外旅行ができないのは嫌、と既に聞いているので、後は通知待ちだったのです。実際、口を開けばけんかになってきたところで「これは終わりも近いな」と思っていました。

●どう対処する!? 入院中の離婚情報調べ●

問題は対処の仕方です。手紙には「退院したら返事を聞かせてください」とあったのですが、こちらが無駄な不利益を被るような発言や態度を取ると致命傷になりかねません。

病室にはノートパソコンを持ち込んでいたので、離婚に関するウェブサイトを調べ尽くしたのですが、男性側の視点が少なく、女性のケースばかりです。妻が部屋にこもって調べていたのは、離婚を妻が切り出す場合の条件、そして慰謝料の相場と養育費相場だったのです。

インターネットに見切りをつけ、翌日は病院を出てバスで駅前の書店に行き、離婚関係の書籍を読みあさりましたが、やはり女性の立場の本ばかりです。コンビニで離婚のムックを見たような記憶もあったので寄ってみましたが、それも気のせいで、実際は女性のケースばかりでした。

調べてみると、2型糖尿病の旦那さんの病状が悪化し、介護に疲れて離婚を考える女性も少なくないようです。とはいえ、自分の妻の場合は介護もまだしていませんし、せいぜい食料を制限するくらいですが、単に量を少なくしているだけ。

むしろ、糖尿病で体がつらいのに家事も買い物もやらせるわ、掃除は互いに我慢比べです。なので、セックスレスを原因にしたのでしょう。実際ネット上には、介護は離婚の理由にならない、としている弁護士さんもいます。しかしセックスレスが理由として認定されるようで、家庭内の事情というのもあります。詳細に調べるにはその日だけでは時間が足りない!

これではどうしようもない、退院してからじっくり調べるしかない。翌日が退院日でしたが、半日は外出で離婚事情調査に費やしてしまい、ぐったりして戻りました。疲れ果てて寝ていた午前3時過ぎ、看護師さんに突然、起こされました。
「すいません、どうしてもと、奥さんとお子さんが来られています」

は? 妻だけならともかく、まだ保育園児の子供までこんな時間に!? そして、泣いている妻と、よく事情の分かっていない子どもが病室に入ってきました。(U)=雑誌・ウェブ編集者、50歳代後半

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