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[健康=メタボの行き着く先](46)都落ちで実家に引っ越し、新しい透析クリニックへ
視野に小さい虫みたいなのが横切ったり、緑色の模様が残像として残る症状が出てきて最近、困っています。飛蚊症(ひぶんしょう)か、いつぞやの白内障のような症状です。かれこれもう2週間。仕事も山を抜けたので、今週は眼科で眼底検査をしてもらわなければ。放置すると失明です。糖尿病持ちの人工透析患者というのは、いろいろ厄介なのです。
透析をしていなくても、視野に異常がある人は出来るだけ急いで眼科医へ。高血圧で眼底出血する場合もありますし、診断されていないだけで実は糖尿病の人もいるので、きちんと診てもらうことをお勧めします。失明生活は透析生活よりキツイと思いますよ。
●新たに通院する透析クリニックを決定●
さて、前回、田舎の実家に移ったことをお伝えしましたが、透析期間を空けないため、引越し前に次に通う透析クリニックを見付けなければいけません。というわけで、引越す前に実家に帰り、地元にある透析施設を探しました。検索して自動車で10分圏内に2カ所、20分圏にもう1カ所あることは分かっていました。
そのうち1カ所は徒歩でも行ける病院の透析ルームでしたが、ベッド数が少ないうえに昼間のみの対応。実家でも仕事を続ける自分としては「なし」でした。基本的には入院患者さん向けの透析ルームなのでしょう。そこで、もう1カ所の透析クリニックを見学に行きました。ここはベッド数もそこそこの通院型の透析クリニックで、内臓疾患のある患者の診察にも対応しています。夜間は月、水、金で夕方5時からです。
話を聞いてみると、車で20分のクリニックも同一グループのクリニックで、年に一度の定期検診では、そこにあるCT(コンピューター断層撮影)検査を受けるそうです。また、仕事の都合で振り替える時にベッドに空きがない時は、そちらに回るもできるとか。ほかに脳のMRI(磁気共鳴画像装置)を別施設で受けるなど、実家のある県の田舎部で展開している透析グループであることが分かりました。
東京都内で通っていたクリニックは単体の開業したての施設でしたが、この透析グループなら安全です。ということで、ここに通院することを決め、引っ越し日も通知して最初の透析日を決めました。その前にクリニックには手紙以外に透析データがファクスで送られるので、セットもバッチリです。
透析データで欠かせないのは、DW(ドライウエート)=透析時基本体重=と、透析時間、透析時の血液の流用を示すQB(血流量)、そしてダイアライザー(人工腎臓)の容量などです。引き継ぐべき注意事項などがあればもちろん、それも書き加えられます。
●地方のひどさを凝縮したような悲惨な街●
実家は首都圏の県にあるのですが、そこはド田舎もいいところで、駅前はシャッター街。それがえんえん続きます。大型スーパーの「イオン」と3つのホームセンターに客を持っていかれたのでした。外食事情は、定食屋などはなく街道沿いのファミレスと牛丼屋ばかり。チェーン店に征服されています。しかも、駅前には旅館もホテルもありませんし、銭湯も見かけません。マンションはたった1つのみ。アパートは少しばかり。ファミレスにはヤンキーとヤンキーあがりのオヤジとギャルばかり。地方のひどさを凝縮したような悲惨な街です。
実家があるこの土地は、父親が退職金で一括購入できる家を探した結果、たどりついた場所で。その選定に自分は全く関わっていないので、何の思い入れもありません。資金を作れなければここで死ぬまで生きることになるのか、と思うと絶望的になります。
引っ越してからすぐ、市役所の福祉課で障害者手帳の住所更新(書き加えるだけ)、各種保険証の交付、さらにETC(自動料金収受システム)の住所変更に、警察署で駐車許可証の発行、と大忙しです。
驚いたのは東京では透析関連に関しては1円も立て替える必要はなかったのですが、ここでは透析も薬局も月に1万円ずつ立て替えて、申請書をいちいち市役所の福祉課に持っていかなければならないことです。そして、後に振り込み通知がハガキと封書で別々に届き、入金されて戻ってくる仕組み。確かに制度上ではこちらのほうが正しいのですが、東京都は資金に余裕があるので、最初から払うことなく済まされていました。
それもそのはずで、いちいち書類を受け付けて処理して入金して、通知する手間と人件費、経費を考えると、人の多い東京ではとんでもない金額になります。しかし人口5万人のこの市では、老人が多いとはいえ、障害者の数はさほどではないのでしょう。また、初めからから立て替えるという話題にすらならないのかもしれません。
とはいえ、後にこれが大問題に発展するのでした。資金に余裕のある自治体に住みたいものです。(U)=雑誌・ウェブ編集者、50歳代後半
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