[健康=メタボの行き着く先](43)障害者手帳のために走り回らされる「歩行困難者」

この国の役所は気が狂っているのでしょうか。今まさに渦中の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策となる各種給付金や融資の申請は書類だらけ。どうせ休んでいるから暇だろ、と考えているとしか思えません。

さて、通い人工透析は始まっていましたが、実はまだ障害者手帳は取得していませんでした。なぜか数カ月経ってから手続きすることになっているのですが、その間に1人でも死ねばいいのに、とでも考えているのでしょうか。障害者手帳は所持者に障害があり、各種福祉サービスを受ける根拠となります。手帳を取得するための申請手続きに必要な書類などを羅列しましょう。

・身体障害者手帳交付申請書
・身体障害者診断書・意見書(指定医作成)
・写真1枚(4×3cm)
・認印
・個人カードまたは通知カード(年金関係)

このほかに、月30万円以上は優にかかる医療費を免除してもらうため、今度は身体障害者手帳と健康保険証、認印、個人番号カードが必要です。

つまり、両方を取得するためにはワンストップで済まないのです。「歩行困難者」だっつーのに、なぜ忙しい中、何度も足を運ばせるのでしょうか。この融通の効かなさにはさすがに頭にきました。

自分たちの会議の議事録は作成しないと勝手に決めてしまうくせに、障害者にはこの扱い。人工透析はその昔は適応外で先人の多くが尿毒症で死んでいます。適応にさせたのはそれなりの運動があったからこそです。とはいえ、えらいことになってはいますが。その頃の記録から引用します。

◇当時の日記からの引用◇

障害者は何かと手続きが煩雑だ。
代理人が行くこともできるが、各所に提出する書類が半端ではない。

が、社保庁……年金特別便も来たが、それとは別に各種特別保険証を発行してもらわないといけないのだが、これが郵送だけですまないものもある。

障害者なんて仕事してねえだろうし、食わせてもらってんだから足をい運んで来いや、という尊大な役所の本心が透けて見える。障害者はどっか施設に入ってろ、とでもいうんだろうな。

年金では適当な処理をした分、そこで節約された時間が今になって結局埋めなければ行けなくなっている。頼むからワンストップにしてくれ。手続きのために仕事ができねえじゃねえか!

◇引用ここまで◇

このときは会社の厚生年金が払えなくなり、区役所に土下座して免除してもらったのでした。会社を設立しても社会保険に社員を入れないところも実は多いのです。

2008年秋のことです。この頃は週に1度は社会保険事務所と区役所に通っていました。歩行困難者だというのに。普通なら家族やソーシャルワーカーさんに任せるところですが、離婚して家族はないし、親は自動車の免許もなくド田舎に住んでいますから頼めません。

また引用します。かなり怒りつつも、疑問だらけなのは、自分が生かされていることに対して、自分にはそんな価値などないと、いまだに思っているからです。

青い保険証は保険対象の医療費が免除になる助成受給券、左は1万円以上かかる高額な透析の費用が免除なる券です。上限1万円は東京都では初めから負担していて、実質払うことはありませんでした

◇当時の日記からの引用◇

障害者は国畜かと思えるほど、手当が厚いと感じることがある。しかし、どれもこれも手続きが煩雑。ほかの案件もあって役所巡りで一日ぶっつぶれる。

しかし保障対象はまだいい。障害以前の肝炎ではまだまだ治療費が高い。金で命を買えた方がいいのか、それとも死ぬべき人間は淘汰されるべきなのか。

地球のためを思うなら後者なんだろうな。今保障を受けて恩恵を受けているけど、どれもこれもかつては自腹で保険対象外だったもの。変ないい方だけど、いいタイミングで病気になっていると思う。でも抗がん剤はなぜいまだに?

◇引用ここまで◇

役所っていうのはなんでこうしゃくし定規なのでしょうか。そして権益の臭いがする。とはいえ、即死以外で苦しむのは尿毒症で味わってしまったので、そうそう自害できないわけですよ。なので、人工透析中はいろいろな死に方について妄想します。

2008年には東京・高田馬場で透析中の患者がスタッフにカッターナイフで切りかかった事件がありました。そのことを技師さんに訊いてみると「針も外れたみたいだから出血すごいよ」とのこと。また、当時の記録から引用します。

◇当時の日記からの引用◇

出血が大量になれば、失血死というリスク。それすらも我慢ならなかったのだろう。以前、学生や新人が多い透析病院ではスタッフのくだらないグチや無駄話が神経に障った。「帰りてえ」「面倒」「あいつがさあ……」などを延々3~4時間聴かされるのは拷問に近い。

ラジオを聴いたりテレビを見たりして気をそらせればいいが、そうもいかないこともある。そもそも、透析自体が嫌になることもあるし(自由がきかない)、すぐ横を大量の血液が流れているので「これ切っちゃったらどうなるのかな~」といたずらな破壊願望というか「実験君」が頭をもたげてくる。

今日、ついでに聞いてみたら「勢いはすごいけど、3000cc出なければ大丈夫だから」と。目を盗んでカッターでパイプをスパッとやってもそれまでに止血できちゃうそうです。なるほどねえ。

◇引用ここまで◇

当時の記録を読んでいて驚いたのですが、その頃の自分の除水量はわずか1.5Lでした。おそらく、この頃は透析初期だったので小便がまだ出ていたのだと思います。これまでの最高除水量は6.5L(4時間半で)。4時間半で6.5kgやせて目がパッチリ、心なしかゲッソリ気味で帰路につくのでした。

それでも2008年の通い人工透析では途中から「体が大きいからダイアライザーをいちばん大きいヤツに替えるね。言ってみればダイアライザーのベンツだよ」とドクターの配慮で血液ろ過効率を上げる措置になり、それは今も引き継がれています。

ダイアライザーというのは透析器に装着する円筒の筒で、言ってみればぶっ壊れた腎臓の代わりをしてくれます。老廃物や余計な水分、電解質などをこしてくれます。日本のダイアライザーは性能が良く、特に近年はとても質があがっているそうです。これがあるから人工透析で生きていられるのです。(U)=雑誌・ウェブ編集者、50歳代後半

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