[健康=メタボの行き着く先](28)出張先で不規則・好き放題の食生活

2005年に法人化し、初の大型案件は同年に手掛けた九州のホテルのウェブサイトリニューアルでした。まずはリニューアルプラン提示前のヒアリングをするため、週イチで東京と九州を飛行機で往復する生活が始まりました。

飛行機にはてんで乗り慣れていなかったのと、それまで打ち合わせや仕事で普通だったカジュアルな服装がスーツに替わり、帰って来るとぐったりです。今までスーツを着る仕事には数えるほどしか就いたことはなく、スーツを着る機会は、主に冠婚葬祭で年に1回あるかないかでした。

週イチの九州通いで、毎回同じスーツというわけにもいかず、買い足しました。自分は洋服もあまり買わないタイプなので、自分の体のサイズを認知することが意外にありません。日常は“2軍”のダルダル服だし、出かけるときも限られた“1軍”服です。

●スーツを新調して体の膨張に気付く●

スーツを新調して気が付いたのですが、以前より確実に体が膨張したサイズになっていました。測定してくれた店員さんも「うーん。このサイズだと、このあたりに限られますねえ」と選択肢が少ないことを申し訳なさそうに告げるしかないのです。

車で行ける範囲に大きいサイズ対応の洋服店があったのですが、チラシで見た激安スーツは通常サイズのみ。大きいサイズは布面積も大きいので、通常より値段が高くなってしまうのです。

とはいえ、今後はスーツを着る機会が増えるわけですから、ここは先行投資です。メタボで悩んでいる人は、ときおり服を新調して体のサイズが知らないうちに大きくなっていないか、チェックするといいかもしれません。

結構ショックなのはズボンです。ジーンズでもいいので試着してみると、今履いているサイズが入らず、上のサイズを2、3本試して予想外のサイズにたどり着くという結果が待っています。履き替えている間、試着室の鏡に映るだらしない体、でか過ぎと思えるパンツのサイズ感などは、メタボをどうにかしないと!と決心するきっかけになるかもしれません。

●出張時の服薬とインスリンはでたらめに●

九州出張では、当然ながら3食が外食になります。もちろん、血糖値測定キットとインスリン一式、そして毎日飲んでいる薬も持って行きます。

しかし、例えば1泊2日の出張では朝食なしで家を出て、車の中でコンビニパンを食いながら空港へ。インスリンは打っていません。昼前に九州に着き、急いでホテルまで移動し、早速打ち合わせです。食事をする時間も、打ち合わせと打ち合わせの間で急に決まることが多かったので、インスリンは手元にありません。夕食は遅い時間にたっぷり。インスリンと薬は、宿泊している自分の部屋に戻ってから、となります。

疲れてぐったりしているので、とても血糖値を測る気にはならず、記録する手帳も持って来ていません。ただ薬だけはこのタイミングで服用します。部屋では窮屈なスーツを脱ぎ捨て、トランクスだけになって開放感を味わいます。ついでに、冷蔵庫を開けてつまみと酒を取り出し、1人飲みでリラックスです。「かーーーーーーーーーーーーーーーっ! キンキンッに冷えてやがる!」と“カイジ語録”をつぶやきたくなる瞬間です。

こうした生活パターンが続くとそのうち、夕食後にコンビニに行って酒とつまみ、それにアイスクリームなどを買い込むようになっていきます。夜食をドカッと食べそうな時は、一応、インスリンをいつもの指示量よりカンで多めに打っておくのですが、ストレスの反動で食べ過ぎてしまい、体は九州出張のたびにダルさが増していきます。

しかし、悪夢のような嫁から開放されたことと、新事業の高揚感も手伝って、不規則な食生活が続きます。出張が多かったり、単身赴任で家族の目が届かなくなったりして自由を満喫している人も多いと思います。単身赴任では自炊もできますが、忙しいからつい弁当や外食に頼りがちですし、晩酌も気兼ねなくできるので酒を飲み過ぎてしまいます。

酒は言うまでもなく糖分の塊ですから、気を付けないと糖尿病を悪化させるだけでなく、体にとって毒であるアルコールを分解する肝臓にも負担をかけます。この頃の自分はというと、脂肪肝を指摘されていました。要するにフォアグラです。

とはいえ、自覚症状は何もないのです。肝機能の異常を示す数値のγ-GTPも高かったのですが、この頃の症状は飲み過ぎると吐くだけ。1人飲みで内容量500mLの缶ビール2本では特に何ともありませんでした。

●バイキングで幸福感の後に低血糖状態●

もう1つ、泊まり出張の時は、ホテルの和洋バイキングが大のお気に入りでした。朝食が取れないことも多いので、低血糖にならないよう、洋食メーンの朝食にしていました。オレンジジュースとコーヒー、パンは3種類をバターとジャムで。さらに多めのスクランブルエッグとベーコン、ソーセージで、締めはフルーツ。ああ、何という理想的で幸せな朝食でしょうか。これにヨーグルトとジャムを加えれば完璧です。

この食事の後にインスリンを打つのですが(本来は食事前なのですが)、血糖値が高い時は、やはり多めにします。それでうまくいけばいいのですが、ごくまれに、次の食事まで時間が空き過ぎたり、しきりに動いたりすると低血糖状態になり、冷や汗と動悸、立ちくらみ、全身の異様なだるさを感じることになります。

たまたま、つい昨夜(2020年2月6日)、その状況に襲われてブドウ糖8個を補給したうえ、ミカンとピザを夜中に食べて何とかなりました。昨夜の原因は、夕方に小腹が減ったのでインスリンなしでカップ麺を食べたため、夜の薬服用時の血糖値が300を超え、いつもより多い量のインスリンを注射し、夕飯を抜いたことでした。

しかし、この2005年当時は、血糖のコントロールがめちゃくちゃで絶えず血糖値が高かったため、低血糖で倒れることはほとんどありませんでした。異常な状態に慣れるのは怖いことです。皆さんもお気を付けください。(U)=雑誌・ウェブ編集者、50歳代後半

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